ベルント・グレーバーがみた今年の大会
全日本スキー技術選手権、国際スキー技術選優勝

 ベルント・グレーバー全ての競技を観戦できなかったので、難しいですが、とても意義のあるスキー大会だと思います。アナウンス、ロケーションとも最高でした。そういった意味ではとてもよいシチュエーションの設定だったと思います。ジャンプ台を使った競技のアイディアは見る側にとっても楽しめました。雪質がソフトだったことが残念ですが、もしもっと良いバーンだったら選手たちの滑りの違いをもっと楽しむことが出来たんじゃないかと思います。

決勝1種目制限滑降(大回転)
 最初に観戦した決戦第1種目GSについては、ハイスピード設定だったのが気になりました。技術選の特性を考えた場合、もう少しスピードを抑えた設定がベストではなかったでしょうか。参加選手たちはアルペンレーサーではないわけですから、高い心肺能力を必要とするよりは、スキー技術の能力を問える斜面設定であってもよかったと思います。逆に観戦しているほうとすればパーフェクトなロケーションだっともいえるかもしれませんが。

決勝2・3種目大回り、小回り・整地・急斜面・フリー
ハイスピードの中での次元の高いスキーコントロールが勝敗の鍵だった

 ジャンプ台での競技についてはバーンが柔らかかったことで、選手たちも表現に苦しんだのではと思います。同時に、審判員もジャッジに困ったでしょうね。選手たちの滑りが皆同じように見えましたから。でも上位3位くらいまでの選手たちはロングターンでのカービングの表現を非常にうまく、明確に示していたと思います。ショートターンでは選手たちが表現しようとしていた滑りのイメージ、つまりスピードコントロールがなされた中でのハイスピードな滑りでした。

 スピードコントロールはショートターンにおいて非常に重要だと僕も考えます。何人かの選手はスピードが出すぎてコントロールできなくなっていたし、スピードは大事だけれどコントロールを失った場合には逆に減点対象になるべきだと僕は感じています。全体的にバーンの状況があまりよくなかったことが残念ですが、スキーもアウトドアスポーツで、その時々のシチュエーションにあわせて滑ることが必要です。

粟野利信 柏木選手の連覇は素晴らしいことだと思います。彼は最も理想的なタイプの滑りをみせてくれるスキーヤーだと僕も思っています。宮下選手と粟野選手には昨年と比べて、若干の変化を感じました。両選手とも非常に素晴らしいスキーヤーで、粟野選手はショートターンにおいてとても素晴らしいものを持っていると思います。しかし今大会では、特にジャンプ台の競技においては彼の力を出し切れていなかったような気がしました。宮下選手も総合的に非常に良い滑りをみせてくれましたが、彼も本来もっと力のあるスキーヤーだと思います。両選手ともまた来年に期待したいですね。

野沢温泉で行われる国際スキー技術選手権にむけて
誰かに見せるためだけでなく、自分自身のために滑る

 これまでスキーを続けてきたわけだけど、そうできたことはまるでアクシデントのような感じですね。僕も今年でもう34歳だし。でもスキーをしているときは僕にとってとても快感だし、いつでもスキーが与えてくれる感動を感じています。技術的なことでは、去年と比べて、大回りを改善できたと思いますね。より安定した、そしてより幅広い滑りが出来るようになってきたと思います。人によっては大回りでの脚の動きについてあまり大きなアクションを評価しない人もいますが、やっぱり僕はダイナミックな脚の動きを表現していきたいですね。まあ戦略というよりは、とにかく現地のバーンの状況をみて、自分がどんな滑りを見せることが出来るか、じっくり考えて滑ります。カービングレースでも、特に僕はカービングレースについてのトレーニングというのもしていないし、どのような斜面で行われるのか、実際に行ってみないとわからないところがあります。2日目に行われるショートターン競技では脚の動きとダイナミックで、アグレッシブ、同時にエレガントなすべりを表現したいと思っています。それからコブ斜面ではコンディションにもよりますが、アグレッシブかつエレガントな滑らかな表現ができたら、と思います。

 全体的には、着実に自分でも技術は向上していると感じているし、もちろんこの大会で勝つ自信があります。4年間この大会に出場しているけれど、いつでも3位以内に入ってきたし、今年もやれる、と思っています。また、スコアだけでなく、いかに自分のスタイルの滑りを表現できるか、ということも目標のうちのひとつですね。誰かに見せるためだけでなく、自分自身のために滑ることも、僕にとってとても重要なことなんです。とにかく、僕のスキーの本来のすべりを表現できるように、がんばります。