全日本スキー技術選速報(長野県白馬村八方根スキー場)
予選第2日目 3月9日 予選総合成績 男子 / 女子

降雪に悩む若手選手を尻目にベテランが確実なスキー技術で、ポイントを稼ぐ。粟野選手がトップ柏木選手と同点で予選を通過、明日からの戦いがさらに白熱!

 粟野利信午前中の降雪率が60パーセント、気温も1月下旬並みと低く、時折激しく振る雪で視界が十分得られない状況の中で、競技が始まった。 

 今日までの2日間で行われた競技4種目で、準決勝へ進む男子120位、女子40位までの選手が決まった。予想通り、ベテラン選手が高い演技力と技術で順位を上げてきた。本来スピードと切れのある滑りが持ち味で昨日までトップだった柏木選手が思うように点数が伸びず、苦戦している。特に急斜面の小回りでは、やわらかい雪質とたまった雪で、スピードが出ず点数が伸びなかった。ベテランの粟野選手は、スピードよりも確実なターン弧を描くことで、ついに4種目目で、首位に並んだ。昨年この種目で1位だった若月新一も昨年同様流れるようなスムーズなスキー操作で、4位の得点をマークし、オーストリア国家検定教師の意地を見せた。 

 女子では、長野県の萩原礼子選手が小回り急斜面種目で、他の選手がコース・コンディションで苦戦する中、確実なターンとスピードにのった素晴らしい滑りを見せ、この種目で一位の白川三枝選手と同点をたたき出し、周囲を驚かせた。予選種目とはいえ、白川美枝選手の予選4種目制覇を阻む結果となった。明日からの競技展開では、大波乱が起こる可能性も出てきた。

 明日からの準決勝は、総合滑降種目で非常に長いコースが設定され、ジャッジも中間とゴールとの2箇所で行われる。この種目で明日の大勢が決まるといっても過言ではない。この長いコースをどう攻略し、全体の構成力つまり、前半と後半とに分かれた審判員にどのようにアピールできるかが大きなポイントとなる。構成力では、ベテランが有利にはたらくこともあるが、この長いコースを十分な体力を維持することを考えると若手有利ということもいえる。それよりも、現在降り続いている雪がコースコンディションをどう変えるかが一番の鍵となりそうだ。
ビデオファイル
白川三枝 小回り(急斜面・整地・フリー)MPG 1.7MG
柏木義之 小回り(急斜面・整地・フリー)MPG 2.1MG
リベンジー粟野利信が柏木選手連覇を阻むPART2
今日の2種目1位で、トップの柏木と並ぶ。

 粟野利信今日の2種目とも降った雪の影響で、本来の滑りではなかったのですが、最高得点をだして満足してます。バーンコンディションもやわらかいので、エッジングの強弱を、強すぎず、またスキーも止めないで、できるだけ流れのあるスキー操作を大回りも小回りもするようにしました。

 今日は大回りも小回りもこなせる操作性のいいスキー1本で両種目とも滑りました。今日のコンディションのように、表面の雪がやわらかくて、下地があるときは、できるだけ操作性のいいスキーを使いたいな、というのが僕自身考えていたことだし、こういったやわらかい雪なので、スピードよりもターン弧をしっかり描くことを心がけました。今日自分のイメージどおりに2種目こなせたと思います。

 いい感じできているのでこのまま決勝まで好調を維持していきたいです。コース条件がよくなると大回りでは柏木選手ら若手たちが得点を伸ばすので、今日のようなやわらかい雪のときに、しっかりベテランらしさというか、経験豊富な、自分の経験を生かして貯金しなければいけませんから。

山形県 佐藤正人コーチ
小回り(急斜面・整地・フリー)で粟野選手にコース、滑り方を指示。過去4度の優勝経験をもつ的確なアドバイスが首位をもたらした。

佐藤正人 今日は特別な指示は出していませんでした、ただ滑りやすいとこを滑るようにと指示をしました。後半になると、ほれたり、荒れている場所があるので、条件によっては何本かコースをずらして、といった指示は出しています。

 粟野選手の特徴からすると、ちょっとスピードが出ない状況だったと思うんですが、アピールするところでスピードを出し過ぎると、速い切り替えのパターンだけになってしまう。そうではなくて、弧をきれいに見せる滑りの方が点数がでるだろうということで、ターン弧をメインにし、スピードはそれほど速くなくてもいいと、歯切れのいいリズムでスキーの動きをよくしてくるように指示しました。ちょっとリズムがスローだったかな、という感じは今しています。
渡辺一樹が見た今日の見所PART2
ターン弧を正確に描くとことが高得点につながる

渡辺一樹 二日目は予想通り非常に厳しい気象条件になりました。特に、下の中斜面での大回りは忍耐力が必要でした。スピードが出ない、バーンがやらかいということもあって、思い通りの滑りができない、力が出し切れないという人が非常に多かったと思います。

 こういったやわらかい雪で、積極的なカービングターンのイメージよりもすこし、技術レベル、スピードのレベルを抑えた滑りがたぶん要求されていたようです。粟野選手の滑りは見てませんが、たぶんやわらかいタッチで滑ったのではないでしょうか。ここでは、スピードを使おうと思った人が空回りをしてしまったのではないでしょうか。

 急斜面のショートターンは斜面の難易度はそれほど高くありませんがゴール前にコース整備によって落とされた雪がけっこうたまっていて、そのへんで一番後半の見せ所がいいポイントを出せるか、出せないかの鍵だったと思います。自分自身はそこのところでミスをしてしまったので、非常にくやしい種目となりました。粟野選手も上から見ていましたが、それほどリスキーな滑りはしていなかったと思います。やはり傾向としてはターン弧を正確に描くこということをジャッジの方は求めているのではないでしょうか。

 スピードをあげてクイックなリズムでいった柏木選手、スピードのあった伊東秀朗選手がやや点数が伸びないという結果になりました。斜面がやわらかかったので、やわらかいタッチのエッジングがショートターン、ロングターンとも、求められました。技術的な部分では、ハイスピードで求めるハイレベルなエッジング、あるいはスキーの操作というよりは少し技術レベルのコントロール、スピードのレベルを抑えた中での表現をしていくと今日の条件にあったのではないでしょうか。
佐藤 譲選手、技術選への最後のメッセージPART1
 昨年の国体での膝の怪我で、1年間ブランクがあったわけですが、このまま引退はしたくなかった。会社の方にも最後なので思い切ってやりたいということを伝えて、わがままを言ってトレーニングの時間を取らしてもらいました。軽井沢にいる友人の岡部哲也に滑りをみてもらったりとか、調整して、膝もだいぶよくなったので、結果はどうであれ思い切って滑って見たいと思っています。

 予選を4種目滑っていて、今までと違うのは、自己流でいいという意識です。今はカービングスキーが出てきてカービング要素をジャッジは見ていると思います。カービングスキーを履くとカービング要素というのは自然に出てくるものですが、その中でもあまりターン弧を気にしたりせずに、自分が最もスキーに対して乗れるターン弧を描くことが最後の自分のアピールだと思っています。大きいターンがいい、というので大きいのに合わせるのではなくて、自分が一番乗れていくターン弧で滑って、気持よく締めたいなと思っています。やっぱりターンの切れ、抜け、ということをやっていきたいと考えています。おさえているだけじゃなくて抜けるように見せたいなと思っています。

 今回で技術選に出場するのは最後になるわけですが、いろんな形でこの競技に関わりあえたらいいと思います。今後チャンスがあって技術選のジャッジを努めることができたら、競技者の視点から点数を出したいと思っています。