全日本スキー技術選速報(長野県白馬村八方根スキー場)
決勝 3月11日 決勝成績訂正版 男子 / 女子

3月11日に公式発表された成績に訂正があり12日に公式訂正版をアップしました。
山と渓谷社「スキーヤー」0号にて、第37回全日本スキー技術選を特集いたします。
柏木義之がライバル宮下選手、ベテラン粟野選手勢を抑えて、初連覇

 ベテラン粟野選手は、常に独創する柏木選手に迫る成績を出し予選2日目には同点に並び2人の争いに見えたが、4日目決勝では、制限滑降(大回転1本)、大回りで勝利の女神は、柏木選手に微笑んだ。

 最初の種目の制限滑降では、56秒台のタイムをたたき出した伊東秀朗選手が技術選手権3年目にして、ようやく種目別で1位をとった。この種目では、今年の国体で優勝している佐藤久哉選手が1位候補だったが、タイムロスし、大きく順位を下げてしまった。アルペン競技出身者が上位を占めることが予想されていたこの種目で、ベテラン勢がどの程度まで離されず決勝まで持ち込むかが勝敗の分かれ目だったといえる。この種目で、柏木選手が5位になったことで、わずかながら他の選手にも優勝の可能性があったが、次の種目の大回りで、柏木選手は優勝をほぼ確定的にした。

 得意とする大回りがこの限られた幅の中で、その能力が発揮できるかがポイントだったが、その不安を最初のターンで払拭してしまった。切り替えと次リターンの捉えが速く35度の斜度を感じさせないスキーコントロールとスピーとで観戦する多くの人々の歓喜を呼んだ。ゴールし、得点ボードに得点が刻まれた瞬間両手を高く上げた。

柏木義之 今大会のハイライトの最終種目、大回りと小回りの急斜面・整地がリバース方式で行われた。この方式は点数の下位順からスタートし最後にそれまでの最高点保持者がスタートするという方式で、スキーのワールドカップなどの方法に似ている。見ている側にも誰が優勝候補かが判りやすく、大会を一層盛り上げた。また、ジャンプ台ののランディングスロープを使ってレースをやるアイデアは昨年ワールドカップで採用され成功を収めているだけに、今大会でも期待が大きかった。

 今回特別ゲストとして、オリンピックでこのジャンプ台で活躍した荻原次晴さんが応援に駆けつけ、インタビューからDJを努め大会を盛り上げた。

今大会はさまざまな新しい試みが行われた大会でもあった。予選からの得点が加算されること、ジャンプ台で最終種目を行うなど斬新なアイデアが採用され、これからスキー技術選のひとつの方向性を示した大会となった。
ビデオファイル
柏木義之 大回り(急斜面・不整地・フリー) 1位
宮下征樹 大回り(急斜面・不整地・フリー) 2位
柏木義之 小回り(急斜面・不整地・フリー) 1位
宮下征樹 小回り(急斜面・不整地・フリー) 2位
優勝インタビュー 柏木義之選手
今年はデモ選への出場は見送り。自分のスキースタイルを磨いて、仕事と両立できるようになったら挑みます。

 期間中、粟野さんのプレッシャーは相当ありましたし、粟野さんが絶対的に自信を持っている小回りが最終種目に残っていましたから。同じトップ争いをしている宮下さんだったら何とかイーブンでいけるのではないかは思いましたが、4日間は本当にきつかったです。

 大回りは粟野さんには絶対に負けないと思っていたのですが、準決勝と予選とで負けてしまったので、今年はやばいかなと思いました。決戦種目のジャンプ台のランデイングバーンの大回りに関しては絶対的に自信があったので、あの斜面でもし硬くなっていたらもっと点数が出ていたと思います。。小回りに関しては、雪が緩んでいましたけど、まったく問題なかったです。でも今回は両方ともうまくいったのでよかったと思います。

 この大会に向けて、特別なトレーニングはしていませんでした。日頃の通常トレーニングが主体で、種目関係する練習は特に必要ないと思っていました。基礎スキーは状況能力でいろいろな変化に対応していかなければならないので、いろんな斜面をいろいろなパターンで滑っています。たとえば、急斜面、整地、大回りと限らずにそこで大回りをしたり小回りをしたり中回転をやったりとか、コブの急斜面でも大回りをやったりとか、いろいろな状況で滑るようにして対応能力を養うようしています。

 僕のスキーのスタイルとしてはスキーの動きの出し方というのもありますが、体のキレというのも出していきたいと思っています。小回りに関してはヒザの動きですね。ひざの動きが早くきれて動いているとスキーもきれて見えるので、下半身のキレと言うのを自分でも大事にしています。コブに関しては雪面コンタクトが大事だと思うのでできるだけ張りついていこうとは思っているのですが、コブを滑り出して3年くらいなのでまだまだコブは下手です。ですが小回りに関しては出来るだけキレと雪面コンタクトを大事にし、張りつきながら滑りたいと思います。

 2連覇に関しては、一樹さんや粟野さんなどミスター・デモと言う人達に技術選の成績では並んでしまったので、すごい事だなと自分でも思うのですがまだ実感はないです。将来的には指導者として自分が確立されていけばデモ選への出場も考えていきたいと思います。

 ただ今は自分の仕事とかスキースタイルの中でまだまだ自分はデモにはなれないなと言うのがあったので、今年に関しては見送りました。低速種目に関しての勉強もまだ不足していますので。

 父には今回の優勝のことはまだ話していませんが、かあちゃんと婆ちゃんに電話したら喜んでいました。父は久美子が調子がよくてワールドカップで3回入賞したので、そっちの方がうれしいみたいですね。今年も炉端焼きの店の手伝いはやっていますよ。あまり皆には気が付かれないみたいですね。ただ最近学生とかに「柏木だ」って呼び捨てにされるのが、ちょっと辛いです。

※妹の柏木久美子選手は現在ナショナルチーム所属で今年ワールドカップポイント獲得し活躍中。
リベンジー粟野利信惜しくも敗れ2位も悔いなし
 今回は予選から10種目の全得点を持ち込んでの総合成績ということで、やはり去年とは違った緊張感がある大会になったなという気がしています。コンディションとかスキーの調子という面では大会に向けて、うまく調整ができ、大会の初日から自分のスキーができたので全体としては満足のいく大会だったと思います。

 初日、2日目の試合は降雪の中でやったので、すごくやわらかい雪質の中で微妙なスキーの操作とか力のやりとりがありましたが、僕らベテランにとってはすごく負担の軽い、タイミング的にもあわせやすかったです。もし雪のコンディションがアイスバーンになっていたらもっと差がついていたかもしれないですね。

 最終種目のリバース・スタート、下位の選手からスタートする方式は、後に出たほうが有利だという判断が上位グループの中にあったと思います。皆やる気をだしていました。すごく賑やかなスタート前でしたよ。高得点が出るたびに歓声が沸き、どんどんギャラリーの人が盛り上がれば盛り上がるほど、後に滑る選手にはプレッシャーがかかってくるしね。選手も、そのプレッシャーを楽しんでいるようでした。そういう意味で決勝戦のジャンプ台はイベント性があっておもしろかったのではないでしょうか。

 決戦種目の大回転で、1位との点差が判り、その時点で、もう優勝がなくなったのですごく楽な精神状態になったし体も軽くなりました。最後の小回りではもっとシャープな滑りを見せたいと思ったのですが、スタートから少し躓いてしまいました。出だしがむずかしいですね。平らなところから急に落ち込んでいくのでそこにスムーズに合わせていかないといけないんです。どうしてもスキーがとまる人、逆に遅れていってしまう人やスキーだけ振ってしまう人などさまざまでした。

 今回はいっぱいいっぱいでした。柏木選手に離されては追いついて、離されては追いついてという展開で、一度も抜けていないんですよね。同率1位でしたので抜くためにはどうしたらいいかといろいろ考えてはいたのですが、うまくいきませんでした。得点的に言えば予選と準決勝の小回り種目があと2点づつくらい伸びていたら、僕なりのシナリオが書けたとは思っています。今回、小回りの満足度はあるんですよ。特に準決勝のコブ斜面はぶっつけ本番だった割にはうまくいきました。今大会は4日間うまく乗り切ったという気がします。