小回り不整地・中斜面フリー種目審判長 岸 宏の今日の総括
 一般的に、整地であれば自分でラインを作れるけど、不整地であれば、不整地のラインというものが、どれだけ自分の弧が描けるかということがまずテーマとしてあげられます。その中で、さまざまな滑りの質があると考えます。その意味では、今回のこの種目で、大きく分けて、二つの対比する滑りがあったと思います。それは粟野利信選手と渡辺一樹選手の滑りです。

 粟野利信選手の場合、浅めのラインで限りなくホールラインに近い重心移動の中で、それも不整地の中でスキーをコントロールし、シャープ滑りができていることでは技術力の高さを表しています。 重心移動の速さ、その速い重心移動のラインを維持できる脚力または、スキー操作っていう点では、粟野選手は優れているという印象をもちました。

 渡辺一樹選手のラインは、高いレベルでの基準的で手本となるライン取りだったといえるでしょう。深いターンというよりは、コブの腹から、次のコブの腹を回るという、コブ斜面を滑るには常道ですが、ターン弧の描き方とそれを可能にする高い安定した技術レベルがあって可能な滑り。この2人の滑りは両者甲乙つけがたいものがあると思います。

 特に今日の斜面は僕もインスペクションしましたけど、真ん中のコブはかなりえぐれていて、彫れています。その中で上下のバランス能力の高さ示した粟野選手だとすれば、左右のバランス能力では渡辺一樹選手の滑りだったといえます。

また柏木義之選手も素晴らしい滑りをしました。彼のポテンシャルを考えると、最もリスクのある斜度、ラインを選んでほしかったと思います。彼ほどの完成度の高い滑り、技術力を持ってすれば、挑戦してもよかったと期待も含めて考えています。

これらの各選手の個性的な滑りを見ていただくと、理解しやすいのですが、コブはこう滑りますというような規定された種目的な捉えではなく、自分の持ち味、自分の感性で表現してもいいと考えています。いろいろな滑り、いろいろなタイプ、いろんな表現力がある方が自然ではないでしょうか。

 今大会のようにジャッジする側から見れば、弧がちゃんと描けているかどうか。それから重心移動が常に先行しているかどうか。コブを超える時の、重心の移動ラインとスキーの移動ラインがかさなっていないということ。これは大回りでいえば、クロスオーバーですね。そういうところがポイントであって、それを速くできる人の方が当然レベルは高い。強いて基準と言うのであれば、弧の描き方を見ていると同時に重心移動のスムーズさと、それから落差が十分に取れているかということがいえると思います。