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スポーツウェアを構成する素材は、やがて一般の衣料でも展開される。


 例えば、陸上競技ウェアは、場合によっては炎天下でのトレーニングやレースがある。それだけに、ウエアに吸水性や速乾性など、今では当たり前とも言える高機能が必要とされていた。よりクールに感じ、かつドライな着心地で、アスリートをガードしつつ、衣服内の温度上昇を抑えるという冷却性を機能として求められた。
 今やスポーツ、アウトドアシーンにおけるウェアはそうした機能を持ったものが当り前となっている。かつて、登山の世界では”遭難して助かりたければ綿素材製品は着るな!”と言われたが、21世紀になって我々は理想的な服飾素材を手に入れることができた。

 その代表的な素材として昨今話題なのは、ミズノの『アイスタッチ』だろう。アイスタッチとは、エチレンビニルアルコール繊維を肌面に、綿などの繊維を表面に組み合わせて編んだ二層構造の素材だ。“水分と結合しやすく離れやすい”という性質のエチレンビニルアルコール繊維が肌側の熱やベトつきのもとになる汗を吸収し、芯部のポリエステルは疎水性が高いため、水分を内部に残すことがない。そのために”つねにひんやりサラッとした”着心地となる。

 アイスタッチに使用されているエチレンビニルアルコール繊維は、芯部がポリエステルで、その周りをエバール樹脂で覆った複合繊維のことである。同様のエチレンビニルアルコール繊維で「ソフィスタ」という素材があるが、それはクラレの商標で、接触冷感などミズノの基準を満たした素材をアイスタッチと呼んでいるとのこと。

 欧米に比較して、湿度の高い日本の春〜夏シーズンにこれほど向いた素材はない。しかも、アイスタッチの清涼感は環境温度に依存するので、寒くなりすぎる心配はない。だが、環境温度が35℃を超えると、そのクーリング効果(接触冷感と呼ばれ、肌と生地が触れたり離れたりすることで感じる冷たさである。したがって、ウエアのサイズによってその感じ方も変わる)を体感することは難しいというコメントもミズノから発表されている。

MIZUNO MESCALITO (左)ミズノ
メッシュTシャツ(73TF-316 ¥3,200) 一見、普通のTシャツだが、実はアイスタッチの機能が1番に実感できるアイテム。重さは約150g(Mサイズ) 縦伸び吸汗速乾パンツ( 73PF-311 ¥11,800)  ポリエステル+クールマックスという組み合わせのパンツ。こちらも、特殊機能を備えなえ、極普通のアイテムとして仕上げている。重さは約320g(Mサイズ)
(右)アシックス
昨秋、発表されたアシックスのアウトドアウェア・ブランド、メスカリート。Xジェネレーションを対象としたブランドだが、あらゆるアウトドアシーンに対応できることを前提としているモデルから、ストリートを意識したラインまで揃っている。
スポーツウェアに採用される素材は21世紀の衣料のあり方を変える。

 通常、スポーツウエアのメーカーなどは、デュポンや3M、東レや帝人などと言った素材メーカーから生地を購入して製作される。例えば、水着やレオタードなどストレッチ性のある『ライクラ』や『エアロスパンデックス』、スキーウェアやアウトドアウェアでお馴染みの『シンサレート』や『ゴアテックス』、アンダーウエアに使われる『ロビロン』や『テビロン』、『オーロン』など用途や機能によって、あらゆる種類の生地がある。 また、同じ機能の素材でもメーカーによって名称が変わる例もある。その一方で、メーカー独自開発の素材であったり、一般的な素材(ナイロン、ポリエステルなど)の場合は 『オリジナルファブリック』と呼んだりする事もある。

COOLMAX
COOLMAX は、瞬く間にスポーツウェア用素材として定着した。まさに人間の生理機能を助ける、第2に皮膚だ。
 そんな中で、ここ最近一気に有名になった素材に、米・デュポン社が開発した『クールマックス』がある。独自のUFO型(4つの構造)の繊維構造の繊維は、発汗すると4つの溝により水分を吸い上げ、外部へ導く独自のウィッキング(毛管)作用により、体の表面に出た汗をコントロールする。また、水分を外へ排出するだけではなく、空気を外部から取り込み、冷却・乾燥させる気化熱による冷却効果があるため、身につけているだけで体温調節を可能にしたという素材だ。

 単にポリエステルと表示されながらも、このクールマックスは現在、どんな素材よりも早く乾き、コットンよりやわらかで自然な肌触りを誇る。そのため、靴下やヘアバンドといったアクセサリーからアンダーウェア、トライアスロン用コンペティションウェアまで、あらゆるジャンルのウェアに浸透している。その水分放出速度は、通常繊維より20%多い表面積によってコットンの約5倍を達成している。
 また、丈夫で縮みにくく、洗濯機やタンブラードライでの乾燥にも型くずれもしない。また、カビも付きにくく衛生的な素材となっている。

 最新のNEWSによれば、この「クールマックス」(ポリエステル)と「コーデュラ」(ナイロン)を使った織り地に親水性の「テフロン」(フッ素)加工を施した素材も発表されている。しかも、極厚から極薄までの幅広い素材を揃えることが可能とのこと。
 吸水速乾性素材のクールマックスが内側、コーデュラが表側になるよう織られ、汚れを落ちやすくするテフロン加工が施されてある。素材保護用の仕上げ剤は通常、疏水性であり、湿気の放出を妨げる傾向があるが、特別に考案した親水性テフロンを使うことでこの問題を解決した。

 米・デュポン社は今年の1月1日にアパレルやテキスタイルなどの部門を統合し、新体制となっている。その第1弾の製品は21世紀の衣料のあり方を示唆するものとなったという次第だ。


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