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Camping
軽登山でアウトドアの基本をマスターしよう。

取材協力 エルブレス
解 説  松原尚之(ミズノ登山部門アドバイザリースタッフ)



 (財)日本健康促進センターの調べによると、我が国の登山人口は1000万人と言われる。また、ウォーキング参加人口は約3640万人とレジャー白書に報告されている。まさに、万人が歩くことの必要性を感じていると言ってよいだろう。とくに「山歩き」は、心の健康と身体の健康の維持に大きな効果がある。有酸素運動であるウォーキングによって心肺機能が向上し、身体の脂肪が減少して、血液中の中性脂肪や悪玉コレストロールが減少するという医学的な効果は見逃せない。

登山はエアロビクス運動そのもの
 運動のし始めこそ人の身体は乳酸系のエネルギーを使っているが、時間が経つに連れて有酸素系エネルギーの消費(体脂肪を消費)へと変っていく。つまり、しっかりと酸素を摂取(呼吸を整える)することが、疲れない登山へとつながる。
激しい運動を短時間で行うよりも、一定のペースを持って運動を続けることが効果的であることが再確認できる。

登山はカロリー消費が最も多いスポーツ
 多くの人は、ただ歩くだけではカロリーの消費も少なく、大した運動にはならないと思いがちである。たしかに5分、10分程度の徒歩ではそのとおりだ。しかし、30分、1時間と歩き続けることによって、結果として遠泳に匹敵する運動量になるのである。(下図参照)
 しかも、登山は計画次第で老若男女を問わず、誰もが楽しめるレジャーでありスポーツである。未経験者にとっては「山=危険」というイメージを持つ向きもあるが、アウトドアにおける基本的な知識と経験を積むにあたって、もっとも入門しやすく奥行きの深いジャンルである。半日程度で満喫できる春〜夏ハイキングから、厳冬期の長期縦走まで。「山登り」とは誰でも自分に合った楽しみ方ができる、懐の深いアウトドアスポーツなのだ。

 スポーツの種類   1時間あたりのエネルギー需要量(Kcal/1h) 
陸上競技 短距離  290〜320
中距離 440〜480
長距離  370〜440
水 泳 遠泳   400〜450
体 操  ラジオ体操(男子)  120〜300
ラジオ体操(女子) 120〜270
準備体操 120〜240
野 球 ピッチャー  350
キャッチャー 280
野手 200〜230
登 山 比叡山 400〜450
富士山 450

山登りは素晴らしいスポーツであり、遊びである。

 今回、エルブレス軽登山教室の講師を勤めた、松原尚之氏自身の初登山は18歳の頃と比較的遅い方だ。しかし、それだけに自らの経験を基にしたアドバイスには説得力がある。「私の場合、経験者の友人に誘われたのですが、山を始めるきっかけは本人の意思次第です。行ってみたいと思った山があるのならガイドブックを買ってみるのも良いし、インターネットで情報を集めることもできます。いきなり登山用具店に行っても良いですよ。いずれの方法でも具体的な情報を集めることができます。」
 松原氏によれば、所要歩行時間が記載されているような入門用の本でも充分とのこと。実際にそのコースを歩き、指定された所要時間と実際の所要時間の差を知っておきましょう。自分のレベルの目安としてを知っておくと、その後の計画を練る参考となります。無理の無い計画を建てるには、以下のポイントをチェックしておきたい。

●初めてならば、経験者と行くのがベター。

●最初は標高1000m程度の低い山から。

●日帰りから始める。最初は3〜4時間以内のコースタイム設定。

●季節の判断。春〜秋がベスト。初登山で冬季はさける。

●天候の判断。悪天候となる場合「行かない」という判断も大切。

●具体的な計画書を作ってみよう。

 また、登山計画書は登山口のポストに入れるものでもあるので、具体的な内容(日程、行程、メンバー、万が一の場合の連絡先など)を簡潔にまとめるようにしたい。以上の要点を守って、登山の世界に足を踏み込んでみよう。そして、全てのアウトドアスポーツへの応用のきく要素が備わっていることを確認できるはずだ。

手ぶらで山行きはありえない。何が必要かを知っておこう。

 山行きで必要なものとは何か? よく用具のチェックリストがものの本や登山用品店など用意されている。今回、軽登山教室を主宰したエルブレスでも装備品リストを配布しているので、参考のために入手しておこう。ここでは、松原氏によるコメントを紹介する。
 もちろん、ここに紹介するものは基本中の基本とするもののみ。実際に計画を立て、何が必要なのかということを考えてみてほしい。


登山靴
 ローカットタイプのトレッキング・シューズも数多くあるが、基本的にはハイカット・タイプがお薦め。怪我の防止、歩行時に砂利や水の浸入を防ぐ意味でも機能的。登山靴は荷物が増えれば、それに対応した硬さの靴が必要となる。初めて購入する場合は、ハイカットでハードなものを選びたい。
 2足目からアプローチシューズや、よりハードなブーツを揃えるようにしたい。ハイキングをジョギングシューズで済ませようとする人もいるが、元来アスファルト用なので泥濘地では不利、かつ下り道では危険である。
 また、ゴアテックスを採用したブーツを割高に考える人もいるが、出費に見合った機能を発揮してくれるのでお薦めしたい。


ザック
 最初のザックは27〜30g程度の日帰り用を。パッキングをこなせば山小屋1泊にも対応する。経験を積むにつれて、ザックの必要容量がわかってくる。登山用では100g容量まで各タイプが揃っているので、適用容量のザックが無いという事態は起きない。


雨具
 天候に関係なくザックに入れておきたい用具のひとつ。山中を雨具無しで歩くことは、もっとも危険な行為。想像以上に体温の低下が起きる。例え天候が良く、日帰りの場合でも持っていくべきである。天気予報での降水確率30〜50%以上なら、必ず降ると考えたい。また、上着はウィンドブレーカーとの兼用もできる。

←6月に開催されたエルブレス軽登山教室の実践偏では、なんと雨。参加者全員、机上講習会における松原氏のコメントを身をもって体験することになった。しかし、ちゃんとした装備ならば雨のハイキングも楽しく快適だ!


ヘッドライト
 日が落ちれば、山中は真っ暗になると言っていい。月明かりが無ければ一歩も歩けない状態となる。雨具と一緒に常備携行すべきもの。山で大切な用具は、1にヘッドライト、2に雨具と心得たい。もし、予定の行程がオーバータイムとなり、日没後の行動が余儀なくされた場合を想像してほしい。
 松原氏は「どんな場合でも雨具とヘッドライトは必ずザックに入れています。」と断言していた。


地図とコンパス
 コンパスは携行を考えるとゴツイ物は不要。地図も最初はガイドブックでOK。慣れてくると、細かい沢や地形が載る国土地理院発行の25000分の1が便利になってくる。マップケースも台所用ラップを巧く活用すればOK。もちろん、地図はどちらかを使うというのではなく、両方持っていたい。


ウェアの素材について
 山の世界でコットン素材はご法度。濡れれば乾きにくく、体温の低下を招く。50年ほど昔まで、山で遭難し死亡した例は大体がコットン素材の下着などを着用していた。そういった意味でジーンズよりジャージを履いての登山が理にかなっている。
 靴下も同様で、コットンソックスは靴擦れの原因ともなる。下着同様、化繊(新素材を含む)やウールが常識。最近では抗菌処理だけでなく、臭い(化繊の弱点)を押さえる新素材も多く登場しているので注目したい。


手袋
 防寒用ではなく、手を保護する意味で必要。軍手でも着用するとかなり違う。足場の悪い場所、狭い場所など、手をつくことは意外と多い。


ストック
 ここ数年普及した用具。シングル、ダブルがあり、下りで有効。また、障害物をクリアする際、足元の確保をするためにも便利。


食事、水分
 日帰りなら、プロの登山家もコンビニ弁当で済ます事もある。同時に、休憩時に口へいれる携行食も用意したい。空腹での無理な行動は、血糖値が落ちハンガーノック現象に陥る危険がある。
 また、水分はこまめに補給すること。「水を飲みすぎるとバテる」というのは過去の迷信。水無しで山は歩けない。水分も喉が渇くまで我慢するのは駄目。とくに、夏場は発汗量も多く、水を飲みすぎるということはない。実際に必要な場合、スポーツドリンクやお茶でも濃いと感じてしまうので、基本は水を携行したい。


日頃、歩く人の方が山に強い!

 さて、山を登るためにトレーニングは必要という声も聞くが、松原氏は月に1〜2回程度のペースで山に行く人なら不要という。
「普段、歩くことを心得ている方なら特別なことは不要です。以前、ヒマラヤ・トレッキングを企画したときのことなんですが、参加者の中で60代の最年長の方が1番元気だったんです。逆に、20代、30代の若い人の方がバテてりしているんですよ。聞けば、その方は”1日1万歩以上は確実に歩くこと”を日課としているとのこと。アウトドアを楽しもうという方も、1日30〜1時間の歩行でも違ってきますよ。そう、普段から歩いている方ほど山が楽しいはずなのです!」

今回、エルブレス軽登山教室に参加した方々は、本当に初心者ばかり。松原氏の机上講習と実践編を経て登山の楽しさを体験。次回の「登山教室」の問い合わせは、
エルブレス御茶ノ水店 03-3233-3555 
エルブレス新宿店 
03-3354-8951 各店まで


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