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スポーツとしては300年の歴史があるスキー。普及はノルウェーから。

確かに日本におけるスキースポーツの普及に、オーストリアという国の存在は無視できない。しかし、全世界的な規模で言えば、ノルウェーという国のスキー史があってこそである。

 現存する最古のスキーは、北欧の泥炭地で発見された化石とのこと。あそらく、人類が雪の降る地に居住するようになった頃から原始的なスキーが発明されたと考えられている。北欧の古詩(神話)である『エッダ』に登場する狩りの神・ウル、女神・スカーゼはスキーを履いた姿で伝えられている。また、10世紀のノルウェー国王・オーラフ1世がスキーの名手として、12世紀のシグルソン王は氷上戦争において兵士たちにスキーを履かせた……という記録が残っている。

 ノルウェーで誕生したスキーと、それを活用する戦術は、馬術の研鑚と騎士の時代には衰退を見せた。しかし、1740年に軍隊が冬季戦のためにスキー部隊を編成される。これを機に、訓練としてのスキーは競い合うスポーツ競技としても盛んになっていく。この頃になると、ノルウェー王室はスキー競技会の勝者を表彰することとなり、国技として確立されることになる。

 誕生当初は狩り、あるいは戦術の一手段だったスキーだが、民間にも多く親しまれたとあって、世界最初のスキークラブ『クリスチャニア・スキークラブ』が1877年に誕生する。現在のノルウェーの首都・オスロの旧呼称であるクリスチャニアは、ターン技術の呼称として世界に知られている。同クラブ主催の競技会は、1879年にジャンプ大会として開催された。このとき、テレマーク地方から参加した少年たちはストックを使わずにジャンプ(記録によると76フィート=約70m)し、スキーを前後にして着地した……以後、そのスタイルを『テレマーク・スタイル』と呼ばれる事になる。

 さて、近代スキーの普及はオーストリアのマチアス・ツダルスキー(1856〜1940)が体系化したアルペンスキーにあるというのがスポーツ史において一般的である。日本でもレルヒ少佐によるスキー教練、オーストリア式スキーの量産から、全世界的な近代スキーの普及はオーストリアからと思われがちである。確かに日本におけるスキースポーツの普及はその通りなのだが、全世界的な普及はそうではないようだ。アメリカのコロラド・スキーミュージアムに残る記録によれば、世界各国にスキースポーツを普及させたのはノルウェー人であるという……。

 ご存知の通り、かつてのノルウェーは日本と同様に捕鯨大国であり、一時期は世界各国に捕鯨船団を送っていたのである。そして、捕鯨船の立ち寄った国々でスキーをしたという記録が残っている。オーストラリアでは鉄道路線と平行した斜面で蒸気機関車とスキーで競争し、新聞記事となったノルウェー人。ビールを賭け、山頂から誰が1番最初に滑り降りて来れるかと競争した集団……当時の新聞や雑誌記事が残されている。また、そうした余興とも呼べたスキーが競技会として残っている例もある。
 
 余談ではあるが、日本国内に初めてスキーが持ち込まれたのは1890(明治23)年に北海道へスキーを持ち込んだ外国人、日清戦争の折にノルウェー式スキーも持ち帰った松川金沢師団長、外国の雑誌でスキーを知りノルウェーから個人輸入した野村治三郎など、レルヒ少佐以前にスキーに接した日本人も全てノルウェー式であった。


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