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都心在住でも、意外と知られていないのが『黒湯』だろう。日本国内では東京と北陸の一部でしか沸いていない、と言われる貴重な温泉なのである。実は、奥多摩を除く東京市街部だけでも温泉は60カ所もあるとのこと。実際、温泉台帳に記録されているのは53件。表をご覧になると判るが、川崎・横浜を加えると、首都圏の温泉総数は100件にも達する。それらの多くは湯の色が黒く、昔から『黒湯』と呼ばれている。
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温泉台帳に記録される
東京周辺の温泉銭湯数 |
| 東京23区内 |
53件 |
| 川崎市内 |
15件 |
| 横浜市内 |
35件 |
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東京の黒湯は、そのコーヒーのような見掛によらず、重曹(NaHCO3)成分を多く含んでいる。そのため、入浴の感覚はぬるぬるするが、浴後の肌はさっぱりすべすべという結構優れた泉質である。その湯が黒くなる原因は重曹分が多いことにある。俗に、黒湯の色はヨードであるとか、鉄分だとかは間違いで、温泉に含まれる褐色の有機物によるものである。黒湯に含まれるのは『腐植質』と呼ばれる重曹成分にある。
太古、土壌中に埋没した植物(海藻や湿地のアシなど)が、バクテリアなどの地中生物の餌となって分解され、消化されないものは最終的に二酸化炭素(CO2)やメタン(CH4)のガスとなって放出される。そのCO2が水に溶解すると、炭酸水素イオン(HCO32-)となって黒湯となるという次第である。一方のメタンは天然ガスとして利用されるので、東京周辺ではこれを採取するために戦後盛んに地下水が揚水され、結果として地盤沈下の要因になった。
調査結果によれば東京の黒湯は主成分が海藻で、化学的にみるとフミンという高分子芳香族化合物に該当する。黒湯は場所によっては香料に匹敵するほどの香りを持つものもある。
「黒湯とは植物の化石が地下深くで水に溶け込んで黒くなったもので、体がよく温まる効果があり、未知なる効果がある……。」
と言われる所以はそこにある。実際、エステティックサロンにおける海草を使ったマッサージなどは、そうした黒湯の持つ成分効果を狙ったものであり、化粧品などにも応用されている。薄黒く染まった一本のタオルこそ、黒湯の温泉銭湯の常連の証し……なのでだそうだ。
黒湯は温泉分析判定では、温泉法第2条の別表中に示された重炭酸そうだ(NaHC03)及びメタケイ酸(H2Sio3)の項で温泉法の温泉に適応するとのこと。環境庁による『浴用の禁忌症』も施行されているので、以下の推奨される入浴方法を紹介しておく。大体の温泉入浴方法に当てはまるものであるが、参考にしてみよう。
| 黒湯入浴には以下の諸点について注意。 |
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温泉療養を始める場合は、最初の数日の入浴回数を1日1回程度とすること。その後は1日2回、最大3回までとすること。 |
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温泉療養のための必要期間は、おおむね2ないし3週間が適当。 |
| ● |
温泉療養開始後、3日〜1週間前後に湯あたり(湯さわり又は浴場反応)が現れることがある。湯あたりの間は入浴回数を減らすか入浴を中止し、症状の回復を待つこと。 |
| ● |
入浴時間は入浴温度により変わるが、初回は3分〜10分程度とし、慣れるにしたがって延長も可。 |
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入浴中は運動浴の場合は別として一般には安静を守る。 |
| ● |
入浴後は身体に付着した温泉成分を水で洗い流さない(湯ただれを起しやすい人は逆に浴後真水で身体を洗うか温泉成分を拭き取るのがよい)。 |
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入浴後は湯冷めに注意して一定時間の安静を守る。 |
千葉県から東京、横浜と東京湾エリアは地底天然温泉が集中して湧出しているのである。とくに、東京都大田区近辺は温泉銀座とも呼ばれ、有名なところでゆ〜シティ蒲田、宮城湯といった温泉銭湯が数多くある。また、江戸前の温泉浴場としては『蛇骨湯』、乙女温泉あけぼの湯といった老舗がある。最近になって都内で沸いた温泉の中には1000m以上も深い地中から引いている例もあるが、黒湯は地下数10m〜120mに源泉が沸いているのが普通である。
首都圏に在住する温泉好きは、もっと『黒湯』に注目しても良いのではないだろうか? 東京23区内の立ち寄り温泉で温泉療養は、けして夢ではないのである。
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