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Snow Talk
連載 トップスキーヤー海和俊宏・渡辺一樹のSNOW TALK

第9回「ブーツ調整の仕方と最近のスキーブーツの傾向」 渡辺一樹

僕のブーツ選びとセッティング(調整)で大切にしていることは「快適さ」「フレックス」。
 レーサーと違って長時間雪上に立つことの多い我々にとって、快適さは非常に大切です。平たく言うと足が痛くては滑れないということです。上級者ほどピッタリとした小さ目のブーツを選ぶ傾向がありますが、無理して小さいブーツを履かない方がいいということと、足に合わせて当たり(痛い部分)が出ないように調整したほうがいいということです。ブーツを変形させたりして調整することは、厳密にはブーツ本来の性能を引き出しにくくなる訳ですが、痛いブーツを長時間履いて足が変形しては困ります。本来の性能を多少損なっても痛くないほうを選ぶというわけです。

 もう一つはフレックス、これは前回も紹介しましたが、硬すぎるブーツはバランスが取りにくく、身体の故障を導きやすい。バランス面では、特に斜面変化や凹凸のある斜面に対応を難しくします。そして身体への負荷という意味では膝や腰に負担がかかりすぎ、長時間滑った後やシーズン後半になると疲れから怪我にもつながるケースが出てくるのではないかと考えるからです。こんなことからも僕としては柔らかめのブーツを選んだほうが良いのではないかな?と思うわけです。

ワールドカップの選手たちも柔らかいブーツを選択
 レースの世界や基礎スキーおよびその他のジャンルのスキーヤーが履くブーツも年々柔らかくなってきています。かつてはスラロームなど小回り系では浅めの硬いブーツ、そしてダウンヒルや大回りを中心として滑るスキーヤーのブーツは、脛の部分が深く比較的柔らかめのブーツが主流でした。しかしカービングスキーの登場とともに、滑走テクニックだけでなくブーツも新化しました。ブーツを通じてダイレクトに力を雪面に伝え、その反動を利用してスキーの方向を変えてきたノーマルスキー時代のテクニックから、滑走ラインをスムーズにトレースするカービング系のテクニックへの変貌は、我々のブーツセッティングだけでなくブーツ本来の設計までも影響してきているのです。

 海和さんが書いてくれたようにWCレースでも、木村公宣選手が復活し、今期行われる世界選手権でも活躍が期待される選手の一人として名前が急浮上してきました。彼は数年前のレース直前の怪我から不調に陥り、その後カービングスキーへの対応が遅れたため、ここ2年程思うような結果が出せずにいるといわれていました。今期の復調の影には彼の並々ならぬ努力があることはいうまでもありませんが、スキーに合わせた現在のテクニックだけでなくブーツも以前のものよりも柔らかいカービングスキーに対応させたブーツへとチェンジし、よりカービングターンがコントロールしやすいセッティングに変えてきているのだそうです。つまり現在の雪面グリップが出やすいカービング系のマテリアルでは、カチカチでダイレクトに力が伝わりやすいブーツセッティングは、かえって難しい。ブーツ自身が適度に衝撃を吸収したり滑らかな流れるような操作を可能にするブーツへと変わりつつあるわけですね。

カント調整は慎重かつ大胆に
 それでは柔らかさ以外にはどんなところを基準に考えたら良いかとういうと、前後のフレックスに対してもう一つのチェックポイントとなるのが左右のカント調整ではないかと思います。このカント調整はブーツ本来のもつ基本性能以上にチューニングでも調整することが可能です。ここにはいろんな調整の方法があるので、自分の信頼するショップで相談しながら修正していくことをすすめますが、自分の感覚としては以下のように感じています。エッジが立ちにくいということでカント角を増す(外側に開く)とエッジは立ちますがスキーは直進性が高まります。逆にカントを無くすとスキーは多少のズレを伴いながら回転性を増してくれます。僕としてはこの感覚を元に自分の思いどうりに板が動いてくれるように調整しています。どの状態の角度を採用するかによって違ってくるわけですが、僕は滑ってみての曲がり具合によって調整しています。

 これらのように、スキー板の新化とともにテクニックも変わり、それに合わせてブーツも変革しています。この部分は以前紹介したように、「卵が先かニワトリがさきか・・」と言う話と同じことになってしまいそうですね。しかし前回同様これだけはおなじですが、「ブーツ選びは自分のレベルに合ったものを選びたい」ですね。自分のレベルはどうやって知るの??ってことになりますが、お店の方と是非会話してみてください。いいアドバイスが返ってくることと思うし、そういうお店を探したいですね。快適なブーツで今期も思いっきり楽しみましょうね。

協力 渡辺一樹


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