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連載 トップスキーヤー海和俊宏・渡辺一樹のSNOW TALK
第12回「スキーはバランスのスポーツ?」 渡辺一樹
前々回までマテリアルを中心に紹介してきた僕が担当するスノートーク、今回からはテクニック的な部分について紹介していきたいと思います。
昔から「スキーはバランスのスポーツ」といれるほど、適切な滑走ポジションをキープするために神経を使うスポーツです。斜度の変化・スピードの変化・雪質の変化など常に変化する滑走状況に対し、上下・左右・前後と三方向の動きを調節してバランスを取っていくことになります。上下のバランスは主にスピードや斜面状況によって調節し、左右のバランスはスタンス幅や手を広げることによって調整します。また回転中のバランスについては足元のエッジグリップの度合いやスピードや回転弧の深さなどによって調整します。
そして前後のバランスは斜度やエッジングの状態、さらにに回転の前半・後半など状況によって、微調節していくために必要な動きとして活用します。僕の感触としてはこの三方向のバランス取りのなかで、前後のバランスが最も難しい(厄介だな)と感じています。スキーは滑走方向に対して板の向きを横向きにしながら(回旋)エッジを立て(角付け)、エッジが雪面にくい付いたりスキーがしなりやすくなるように力を加えて(荷重)曲がります。スキー用語でいわれる荷重・回旋・角付けの、三つの要素(エッジング)の配分を調整しながらターンコントロールをしているわけです。そしてこのエッジングをさらに微調整する動きが前後のバランス調整と言うことになります。常に均一でない状況をすべるスキーでは、この微調節となる前後のバランス取りが非常に難しい要素の一つと僕は考えます。
スキーでよくいう「真中に乗れ」「良いポジションをキープしろ」という真中とか良いポジションって何処にあるかわかりますか?答えは一番滑りやすいところ、あるいは板の性能が引き出しやすいところと考えています。これまでスキーをしてくる中で「前に乗れ!」「もっと前に前に!」「膝を曲げろ、脛を前に押せ、腿を立てろ!」なんてアドバイスを受けたことありませんか?最近これって本当に「前」で良いのかな?なんて僕は考えてます。滑走経験が少ない方の場合には、その大半が斜度やスピードの恐怖感から、身体が後方に反ってしまう後傾といわれる状況に陥ります。そんなスキーヤーのバランスを直していく場合にはもちろん「前に・・・」というアドバイスをするわけですが、滑走経験豊かな上級者に「前に・・・」って言い過ぎると、前傾過多や前圧過多になってしまい、かえってバランスが崩れてしまうような気がしています。僕と一緒に滑る皆さんには、今この前傾過多で悩んでいる方が結構たくさんいらっしゃいます。この原因はスキーを教わる中で、どのレベルにおいても「前、前・・・」と言われ続けてきたのが原因ではないかな?と僕は感じています。
僕らの大先輩がスキーを覚えた頃の道具は2mを越える長さで寸胴のように真っ直ぐなサイドカーブのスキーでした。ブーツも足元がぐらつきやすい不安定なもので、当時の用具に合わせたテクニックとしては、常に前寄りに重心を置きトップを支点にテール側を左右に振る技術が主流でした。しかしカービングスキーに変わり、テールを振るだけでなくスキーが回転弧に沿って少ない横ズレで回転出来るようになった現代では、しっかりとテール側にも力がかかるようにしてエッジングをコントロールするように、滑りのバランスもかなり変化してきました。僕流のバランス調整の仕方は、爪先をあげてかかと立ちで屈伸するときの身体の使い方に良く似ています。爪先立ちで屈伸ではなくかかとで屈伸です、ぜひ一度トライしてみてください。結構難しいですよ・・・
僕個人のイメージとしては土踏まずとかかとの間ぐらいに力が集まるようにバランスを取るイメージで滑っています。その中でターンに合わせて意図的に前後に重心を動かして滑っています、爪先に行ったりかかとに行ったりって感じですね。皆さんのイメージする「良い位置」って何処でしょうか?意外と今お持ちのイメージよりもかかと側だったりするんじゃないかな。良い位置に乗りながら前後なバランスを調整する、これってもしかしたらスキーの永遠のテーマだったりするんじゃないでしょうか。そろそろシーズン中盤、自分の滑走ポジションをもう一度チェックしてみては如何でしょうか。
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