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連載 トップスキーヤー海和俊宏・渡辺一樹のSNOW TALK
第17回「プレッシャー」 海和俊宏
オーストリーサンアントンの世界選手権、そして2月15日から18日まで志賀高原で行われたワールドカップ大会と話題のイベントがつづきました。来期アメリカのソルトレークシティーで行われるオリンピックを前に日本選手がどのような戦いをするか、そして海外の選手が終盤に来て志賀高原ではどのような戦いを見せてくれるか私自身も多いに興味を持った大会でした。
2001シーズン開幕から日本チームは幸先のいい滑り出しで、皆川賢太郎選手を始め木村公宣選手の復活劇と今までの日本チームにはないチーム力を感じ、スキー関係者を含め多くのスキーファンも期待感でいっぱいでした。若手選手もヨーロッパカップでは順調に成績を伸ばし、サンアントンの世界選手権には若手筆頭の佐々木選手がデビューをはたしました。
昨年12月11日に行われたイタリーセストリエールでのスラローム2戦では44番から木村選手の見事な復活した滑りでトップとのタイム差1秒25と迫り4位入賞。我々スキーファンを多いに喜ばせてくれました。皆川賢太郎選手も1秒39とこれまた6位入賞で、世界との壁を破りトントンと表彰台まで上り詰める勢いでした。その後も、順調にポイントを重ね確実にランキングを上げ始めたかに思われた木村選手や皆川選手でしたが、中盤なかなか成績を残すことが出来なかった木村選手となかなかゴールする事が出来なかった皆川選手に、我々応援組も少々の焦りを感じながらの世界選手権突入でした。
その中でも皆川選手はげんのいいキッツビューエル第5戦では8位入賞、続く第6戦のシュラドミングで10位と、後半になってようやく彼本来の戦い方を取り戻し世界選手権、志賀高原大会に挑みました。。何れにしても、木村選手、皆川選手と今までにはない強い日本チームの誕生と言っていいのでは・・・?こんな中いやがおうでも世界選手権の滑りや志賀高原での戦いが気になったところです。
世界選手権では皆川選手の10位と期待通りの成績とは全くかけ離れた結果となってしまいビックイベントでの戦いの難しさを感じます。木村選手は一本目のタイム差が焦りを作り、リスクの高い滑りに繋がってしまいコースアウト。皆川選手は10位で満足出来る選手でもないので、彼の現在のポテンシャルからしても世界選手権の戦いは失敗と言えざるおえないでしょう。
全体的な滑りや流れは決っして悪い状況ではなかったようですが、彼本来の闘志ムキ出しの攻撃的な滑りからはほど遠く感じられました。特に2本目はきれいな滑りに見えて、何処で攻撃的な滑りに変わるのかと思いながらテレビを見てしまった。結果、ビックイベントの持つ見えないプレッシャーが影響していたようです。テレビを見て、私が感じるところと、現実的(現場)に戦っている状況では大きな違いあるかも知れません。もちろん一番悔しいがっているのは本人である事は間違いない。
こんなプレッシャーとの戦いや経験が今後のワールドカップでの滑りや、オリンピックでの成績に大きく影響してくるのでしょう。以前、私もこんな経験をしたことがあります。1984年のサラエボオリンピックの2本目である。普段ワールドカップでの戦いであれば、2本目は行けるところまで行こうと思ってスタート切り、少しでも上位を狙って滑り出しました。しかし、その時は、スタートした瞬間にゴールに入る事が私の目標に変わってしまったのです。スタートするまでは当然一つでも順位を上げる為の戦いであったはずが、何処でどう変わった分からないが滑り出した瞬間からゴールする為の滑りに変わっていました。途中で滑りを変えようとしてもどうにもならなかった事を今でも覚えています。
ゴールに入りたい。成績が欲しい。と言ったプレッシャーだったのか?時として体が自分の思っている事とは別の動きでどうにもならない時があります。プレッシャーをコントロール出来れば本来の滑りが出来るはずだし、タイムだって出す事が出来るはずです。口で言うのは簡単ですが、これがなかなか難しい!一流の選手は何処かでこのプレッシャーの壁を破っているはずです。なぜなら、練習で滑れば殆どのトップレベレルの選手は1秒も2秒ものタイム差はあり得ないのです。
志賀高原で行われたワールドカップでは、2試合同じコースを使うということで、1試合は捨てる気持ちでアタックし、ゴールまで繋がれば儲けもの、結果上位もしくは表彰台にでも届けば最高の試合というシナリオです。もう1試合は自分の実力通りの試合運びを展開し、落ちてく選手によっては上位をも狙う事が出来るだろうと読むでしょう。結果、木村選手は初日、2本目はトップタイムを叩き出す滑りを見せてくれましたが1本目のタイム差でどうしても上位に順位を上げる事ができませんでした。2日目は無念のDF! しかし大きな成果を掴む事が出来たような気がします。
1本目の滑りで、皆川選手は当然上位入賞もありえたと誰もが想像したに違いありません。出来る事なら、初日が第2シードで思いっきり勝負できるスタート順だったら違った展開もあったかもしれません。初日の成績で2日目、第1シードの切符を手にしていたとすれば戦い方が大きく変わったはずであす。第1シードでの失敗が翌日まで響いたような気がしてなりません。これもプレッシャー! しかし、第1シードを経験出来た事で今後の彼にとって大きな自信となり財産になったはずです。来る、アメリカで行われるオリンピックに皆川選手を始め木村選手のラストチャンスそれに若手選手と多いに期待したいものです。
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