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Snow Talk
環境問題を考え、酸性雪について考えよう……。



美しい雪原も酸性雪となってしまうと、雪解けの頃に環境破壊の始まりという恐ろしい事が……。
身近な液体のph値
アルカリ性 胃液 1.8〜2.0
レモン汁 2.0〜3.0
2.4〜3.0
ワイン 3.0〜3.7
ビール 4.0〜4.5
醤油 4.5〜4.9
炭酸水 4.6
4.6〜5.7
煎茶 5.9
蒸留水 5.6
中性
(ph7.0)
牛乳 6.4〜7.2
母乳 6.8〜7.4
酸性 唾液 7.2〜7.4
血液 7.4

 雪の結晶は一般に六角形と言われるが、実際には結晶化する際の気温や湿度によって板状、柱状あるいは針状と千差万別である。スキーW-Cup、とくにスキーの滑走性が重要視される高速系競技種目を担当するサービスマンは、雪の結晶から適合するワクシングをも行う。雪の結晶は、大気中の水蒸気が凍った氷晶(小さな氷の粒)が水蒸気を付着させながら成長したものである。

 日本でスキーW-Cup(あるいはFIS公認レースなど)が開催されると、サービスマンを悩ますのが欧米と異なる雪質に合ったワキシングと以前から言われる。大陸に振る雪と異なり、その大陸から日本海上空を通過するため水分量が多いベタ雪だから……ということは昔から言われている。

 ところが、ここ数年はT字型あるいは棒状といった、変則的な雪の結晶が増えているという。この結晶形状を持った雪の正体こそ、いわゆる『酸性雪』と呼ばれるもので、排煙や排ガスなどに含まれる硫黄酸化物や窒素酸化物により六角形に成長できなかった雪なのである。すでに行われた調査によると、北海道から東北地方の90%以上の地域で酸性雪が観測されているとのこと。

 すでに欧米の研究報告などでは『酸性雪は解けるまでの間は同じ場所にとどまるため、酸性物質が蓄積され、雪解けの時期には酸性度の高い水が一気に流れ出るために生態系への悪影響は酸性雨よりも深刻』と公表されている。

 酸性雨を調べるときの指標の一つが pH(ラテン語の”pounds Hydrogenii” pounds=重量、Hydrogenii=水素)である。pHは、水素指数の略号です。)だが、これは”水素イオン指数”と呼ばれ、酸とアルカリ(塩基)のバランスで決定される。ちなみに、日本で観測された降水の年平均は、pH4.6〜5.7となっている。蒸留水(H2O)は ph7 、大気中の二酸化炭素が溶け込んだ真水の ph は約5.6。南極の約2千年前の氷の ph が 5.3 程度、降雨の ph は5.0〜5.5程度である。普通の降雨は ph5.6 程度の弱酸性であり、pHが5.6以下になった雨を酸性雨、雪を酸性雪と呼ぶ指針もある。しかし、実際はどんな物質が雨や雪に溶け込んでいるかが重要なのである。

 少々ショッキングなこことだが、最近、北日本に降る雪は太平洋側の一部を除くほとんどの地域(全国61ヶ所中57ヶ所)で酸性雪(pH5.6以下。)となっていることが判明した。酸性度は太平洋側より日本海側で強いことから、原因は大陸からの汚染物質の関連が疑われている。それこそ雪中に蓄積された酸性度の強い汚染物質が一挙に解け出せば生態系に悪影響を与える恐れがある。また、樹木にも付着しやすく環境影響は酸性雨より大きいとされる。最も酸性度が高かったのは新潟県の雪で、pHは4.6 (調査平均値は ph4.86)だった。スキーヤーにとって、大陸からの季節風が強まって降雪が見込まれる……という雪便りも、これで一概には喜べないはず? また、春先の雪解け時期ともなれば酸性度の強い水が流出し、生態系への影響も問題だろう。

 現時点で、日本では酸性雨や酸性雪による陸水、土壌、生態系への影響の明確な兆候は報告されていない。しかし、今後も現状程度の酸性雨が降り続けば、影響が現れる可能性は必須である。一旦生態系への被害が発生すれば、その回復は非常に困難であろう。

 すでに、欧米で以前から環境問題となっていた酸性雨や雪は、アジア全体でも環境問題として取り上げられ、その実態把握のために日本を含む各国政府が『東アジア酸性雨モニタリングネットワーク』を設立して、長期の定期モニタリングを開始しはじめた。酸性雨問題に対する世界的な取組みとしては、ヨーロッパでは1979年に『長距離越境大気汚染条約』が締結され、酸性雨の原因物質である硫黄酸化物と窒素酸化物を削減するための議定書が締結されている。北米ではアメリカとカナダの間で酸性雨被害の拡大を防止するための二国間協定が1991年に調印されている。


*参考=東アジア酸性雨モニタリングネットワーク(EANET Web Site) 、環境省 HP


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